【麻生要一郎 日乗水彩日記 つれづれなるまにまに:「ソウルへ」】

料理家・エッセイストの麻生要一郎さんの水彩画の絵日記も10回目です。
麻生さんにとって人生の相棒だった特別な猫、チョビが急逝した哀しい夏、麻生さんは友人であり、家族であるミュージシャンの坂本美雨さん母娘とともにソウルへ。
活気溢れるソウルの友人の店と料理、身体に染み渡る滋味のスープやデザート……麻生さんが自分で自分を癒していく時間が流れていきます。    

 

絵、文、撮影/麻生要一郎    

 

 

チョビがいないという現実に向き合うことができなかった8月、美雨ちゃん母娘のソウル旅に混ぜてもらった。    

 

 

 

先に着いてソウルを満喫していた2人と一緒に、韓国の友人が営む“CHICKEN DO ANYTHING”を掲げる鶏料理のお店「gyeupsik」へ夕食を食べに出かける。店主のdongのSNSを覗くと、走っているか、トレイルランや壁をよじのぼるような投稿が上がっている。並外れた運動神経と体力の持ち主、つまりそんな彼に必要なのは良質なタンパク質=鶏だなあと、いつも思う。イラストの真ん中の下にある料理が、スペシャリテのマヌル・ヌルンジ・チキン(にんにくおこげチキン)。  

 

 

揚げた鶏肉、にんにくが効いた濃い目のデミグラスソースをからめて、底にはおこげという、パンチある一品。他にもパスタを頼むとその上にはチキンカツと目玉焼き、さつまいものフライドポテト、他にも鶏の胸肉を揚げたものとか、箸休めに出てくるのはカクテキだけだ。とにかく自分の好きな料理を食べてというメニュー構成が僕は好き。食べ終わると、良質なタンパク質でお腹はパンパンだった。    

 

 

お店のロケーションは東京に例えると、浅草橋とか蔵前をイメージさせるような問屋街。店の構えも、カッコ良い。時折、ジョギング中のdongの友人が立ち寄り一杯というシーンも見ていると嬉しくなった。    

 

   

 

翌朝は、以前のソウル訪問時に青山有紀ちゃんから教わって、定番となった干しスケトウダラのスープ”プゴク”の専門店「武橋洞プゴグッチッ」に行く。スープ定食しかメニューはないので、座ると自動的に料理が出てくる。白濁したスープに干し鱈、豆腐、卵、ネギ、シンプルだけど奥行きのある味わい。添えられたキムチで味を変化、小皿にのったオキアミとネギの和物でごはんが無限に食べられそう。朝から3人で、無心に啜って完食。    

 

 

美雨ちゃんと歩いていると、ソウルの街中でも猫に出会う頻度が高い。公園で、居酒屋の店先で、可愛い猫たちと友達になった。    

 

   

 

お茶をしに訪れた韓屋を活かしたカフェ「haus」で食べた、熟した柿とグリークヨーグルト、グラノーラがのったデザートが美味しくて、滞在中に2回行ってしまった。ソウルの、グリークヨーグルトはとても美味しい。ちょっと小腹が空いた時にも丁度良いし、何よりヘルシー。 先に東京へ帰る母娘を見送ってからは1人の食事、スープ系ばかり。汝矣島(ヨイド)にある百貨店のザ・現代ソウルへ買い物に行ったついでに食べた「PANAX(パナックス)」のエゴマの参鶏湯は濃厚なクリーミーさがあり美味しかった。エゴマがたくさん入っているというだけで、身体にも良さそうだし。他にも、ホテルの近くで食べた、ミナリ(セリ)がたくさん入ったミナリコムタンクッパも美味。ソウルに滞在すると、汁物やキムチ、グリークヨーグルトをたくさん食べて、健康的な気持ちになって、いつも身体が軽い。  

 

   

 

最終日の朝は、ソウルを流れる漢江のほとりにある「Hrr」でベーグル。コーヒーも、少し薄めのベーグルも食感が良くて美味しい。ソウルのパンカルチャー、ベーグル、塩パンが変わらず人気。    

 

 

美味しい食事が楽しめて、ちょっとそこまでという感覚で訪問できるてソウルの旅は、気軽で楽しい。次はいつ行こうかな?と、日記を書きながら考えている。      

 

※ご質問は麻生さんのインスタグラムで不定期に募集中。

今月の質問:Tさん より
Q:パートナーと二人暮らし。子供がおらず老後一人になるのが不安です。麻生さんはいかがですか?
A:今は周りに友人がたくさんいても、先のことまでは分からない。なんにしても、日々を積み重ねていくしかないのだと思っています。  

 

  著者紹介 麻生要一郎(あそう よういちろう) 料理家、文筆家。家庭的な味わいのお弁当やケータリングが、他にはないおいしさと評判になり、日々の食事を記録したインスタグラムでも多くのフォロワーを獲得。料理家として活躍しながら自らの経験を綴った、エッセイとレシピの「僕の献立 本日もお疲れ様でした」、「僕のいたわり飯」(光文社)の2冊の著書を刊行。現在は雑誌やウェブサイトで連載も多数。2024年は3冊目の書籍「僕のたべもの日記 365」(光文社)を刊行。また、最新刊は当サイトの連載をまとめ、吉本ばななさんとの対談を掲載した「僕が食べてきた思い出、忘れられない味 私的名店案内22」(オレンジページ)。 最新刊は当サイトの連載に自伝部分をたっぷり書き下ろした『酸いも、甘いも。あの人がいた食卓1977-2025』。  

 

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