料理家・文筆家の麻生要一郎さんの水彩画の絵日記「日乗水彩日記 つれづれなるまにまに」。
麻生さんの人生の相棒、特別な存在、愛猫チョビが7月に虹の橋を渡って彼方へ旅立ってしまいました。 麻生さんとチョビ、それはいつでも一緒、いつでも心を通じさせていた魂のつながりでした。 いえ、「でした」、などと過去形にしてはなりません。今も、未来もずっと、つながっているのです。 今月麻生さんが描いた絵はあちらへ旅立つチョビさんです。

今回の絵とともに送られてきた麻生さんのお手紙です。ご本人の許可をいただいて掲載いたします。
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文・絵・撮影/麻生要一郎

僕の人生の相棒「チョビ」が18年の生涯を終えて旅立った。

数日患ったとき、友達だったアザラシとハリネズミ、親子のユニコーン達がずっとチョビの傍にいた。アザラシのゴマちゃんはシッポやヒレを使い絶妙なバランスで身体を支え、ハリネズミのハリーはチョビのあごの下で枕の役。ユニコーン達は天からの、見守り役。 力なく横たわるチョビ、それでも自分の力で動こうとする。腰を支えてあげると、自分の気持ちの赴くままに歩いた。こっちへ行く、その意思はとても明確だった。


もう長くないかもしれないと病院で言われたときに、英治さんは隣で大きな涙をぽろぽろ零した。家族のような面々が、忙しいのに昼夜駆け付けてくれたので、我が家は賑やか。旅立ちの前日、きれいな夕焼けが見える頃、ソファーに美雨ちゃんと僕はチョビを抱っこして並んでいた。美雨ちゃんが静かにチョビに歌いかけ、気持ち良さそうに聴いていた。少し乱れていた呼吸が、美雨ちゃんの歌声で落ち着いたような気がした。その夜、真美子さんがチョビの為にピアノを弾いてくれた。チョビへの曲、寝たまま聴いていたけれど、手を伸ばしたり泳ぐような動作をしたり、一緒にお散歩したくなったのかな。 翌日、病院に連れて行った時、診察を待ちながらチョビもうすぐだよと言っているうち、すやすや眠るように旅立った。英治さんも一緒にいてくれた。きっと家で亡くなったら、僕らがおろおろすることを察して病院にいる時を選んだのだと思う。

お葬式では直太朗の歌を流して、皆でチョビに花を手向けた。火葬の待ち時間に入った喫茶店では、帰りに主が「幸せな猫ちゃんでしたね」と言ってくれたことが嬉しかった。写真家の前君がお葬式の時も写真をずっと撮ってくれていた。チョビは前君に撮ってもらうのが大好きだった。

「チョビは、ユニコーンが引っ張るゴンドラで天国へ旅立つよ」と、友人がお告げをくれた。その夜は窓から、大きな満月が見えていた。 今も、骨壺の周りをアザラシのゴマちゃんとハリネズミのハリー、ユニコーンの親子が、守ってくれている。チョビ18年、本当にありがとう。これからはずっと一緒だよ!

今月の質問: 東京都 Cさん より
Q:チョビのどんなところが一番好きでしたか?
A:今ならば全てと言いたくなりますが、抱っこして後頭部の匂いを嗅ぐのがお日様の匂いがして大好きでした。そのひと時が恋しいです。
著者紹介 麻生要一郎(あそう よういちろう) 料理家、文筆家。家庭的な味わいのお弁当やケータリングが、他にはないおいしさと評判になり、日々の食事を記録したインスタグラムでも多くのフォロワーを獲得。料理家として活躍しながら自らの経験を綴った、エッセイとレシピの「僕の献立 本日もお疲れ様でした」、「僕のいたわり飯」(光文社)の2冊の著書を刊行。現在は雑誌やウェブサイトで連載も多数。2024年は3冊目の書籍「僕のたべもの日記 365」(光文社)を刊行。また、最新刊は当サイトの連載をまとめ、吉本ばななさんとの対談を掲載した「僕が食べてきた思い出、忘れられない味 私的名店案内22」(オレンジページ)。 最新刊は当サイトの連載に自伝部分をたっぷり書き下ろした『酸いも、甘いも。あの人がいた食卓1977-2025』。
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