料理家・文筆家の麻生要一郎さんの水彩画の絵日記「日乗水彩日記」。今回は麻生さんが「娘」と呼ぶ、友人の坂本美雨さんの新しいアルバム「Something True」発売を記念してのインスタライブ。森山直太朗さんをはじめとする「家族」の集まりと、お迎えするゲスト、食卓に並べられた麻生さんのお料理、すべてが音楽のようにこのスペシャルなお祝いの気持ちがあふれる時間を紡いでいきます。
●大好評発売中!人気連載「酸いも甘いも」に半生の物語の書き下ろしをたっぷり加えた書籍が発売されました。
新刊『酸いも、甘いも。 あの人がいた食卓 1977ー2025』発売中!
文・絵・撮影/麻生要一郎
今月は珍しく、どこにも旅へ出かけなかった。本当は、新潟に行く予定があったけれど、大きな地震が続いていた事もあり、何事かあったらと思い諦めてしまった。古いマンション、老猫チョビ、人生においての気がかりはたくさんあるものだ。

6月から7月にかけては、執筆の仕事を集中して取り組もうと思っていたので、出かける予定はなるべく控えて、家にこもっている時間も多かった。チョビと僕が出演する、テレビ番組の5日間に及ぶ密着取材もあった。僕はインタビューに答えて、あとは仕事をしているシーンの撮影、カメラは主にチョビの方を向いていたし、相当気を使ってくれていたけれど、それでも家に誰かがいる状況では仕事は進まないものである。
坂本美雨『Something True』ユニバーサルミュージック
美雨ちゃんにとって5年ぶりの、アルバムのリリースがあった。「Something True」というタイトルで、収録曲にある「食卓」は我が家の食卓を描いてくれた歌。作詞は坂本美雨&森山直太朗、作曲は伊藤ゴロー。曲の内容、作詞、作曲の全員が我が家の関係者、まるでテーマソング。皆で発売記念のインスタライブを我が家の食卓から行った。
美雨ちゃんと直太朗が出演、アルバムのジャケット写真を撮った前君、マネージャーの長岡さん、真美子さん、それから盛岡から来ていた友人の加賀谷さん、英治さん、チョビ、僕で食卓を囲み見守った。 描いたのは、その日の夜の食卓。左上から、栃尾揚げの煮物、鮭の焼き漬け(直太朗の新潟土産)、牛蒡の煮物、明太子(直太朗のお土産)、肉じゃが、唐揚げ、胡瓜の糠漬け、茄子の揚げ浸し、お刺身(マグロ、鯛、サーモン)、ピーマン炒め。誰かのお土産、誰かの好きなもの、それは誰かが苦手なものだったりもするけれど、季節のものだったり。 それを繰り返していくことが、家族という軸を育むのではないかと思う。
老姉妹の養子になった時も、鰻美味しかったねえ、冷やし中華たくさんだったねえ、塩鰤とか、時々の食卓を囲んだ時間が、他人同士が家族になっていくプロセスで大切な役割を担ってくれた。
我が家の食卓を囲む面々が、同じ時代を生き抜く家族だと認め合うこと、食卓を通して、その関係性を作っていることを感じる夜だった。先月、盛岡でトークイベントの打ち上げでご一緒した加賀谷さんの我が家への訪問は初めてのことだったから、いつもの面々は“我が家へようこそ”と迎え入れていた。その瞬間が、どこかいつもの風景と違ってキラキラと僕の目には映っていた。

今月の質問: 東京都 Qさん より
Q:麻生さんの好きな食べ物はなんですか?
A:今、頭に浮かんでいるのはカニクリームコロッケです。僕にとっては、子供の頃の思い出がたくさん詰まった味です。だからといって、カニそのものが好きなのかと言われると、そうでもないという。(上海蟹は好きです)
著者紹介 麻生要一郎(あそう よういちろう) 料理家、文筆家。家庭的な味わいのお弁当やケータリングが、他にはないおいしさと評判になり、日々の食事を記録したインスタグラムでも多くのフォロワーを獲得。料理家として活躍しながら自らの経験を綴った、エッセイとレシピの「僕の献立 本日もお疲れ様でした」、「僕のいたわり飯」(光文社)の2冊の著書を刊行。現在は雑誌やウェブサイトで連載も多数。2024年は3冊目の書籍「僕のたべもの日記 365」(光文社)を刊行。また、最新刊は当サイトの連載をまとめ、吉本ばななさんとの対談を掲載した「僕が食べてきた思い出、忘れられない味 私的名店案内22」(オレンジページ)。 最新刊は当サイトの連載に自伝部分をたっぷり書き下ろした『酸いも、甘いも。あの人がいた食卓1977-2025』。
麻生要一郎さんのこちらの記事もご一読を!
●「ウェルビーイング100大学インタビュー」麻生要一郎さん
●「料理とわたしのいい関係」麻生要一郎さん
●麻生要一郎「酸いも甘いも ~僕の自伝的たべもの回想~」記事一覧
麻生さんのこちらの書籍もおすすめ。大好評発売中です!
●麻生要一郎「僕が食べてきた思い出、忘れられない味 私的名店案内22」
「つれづれなるまにまに 記事一覧」
つれづれなるまにまに 其の一「なまこちゃんと作ったラーメン」
つれづれなるまにまに其の二「チェンマイのフライドポテト」
つれづれなるまにまに其の三「49歳の誕生日」
つれづれなるまにまに其の四「最近たべたもの、おいしかったもの」
つれづれなるまにまに其の五「『トークイベント』という名の京都小旅行
つれづれなるまにまに其の六「浅草観音裏から言葉と音を、そして、おいしいおでん。」
つれづれなるまにまに其の七「盛岡のトークイベントへ3人で そして、なにもかも上手くいく














