●著者紹介
横石 崇(よこいし たかし)さん
&Co. 代表取締役/Tokyo Work Design Weekオーガナイザー
多摩美術大学卒。2016年に&Co.を設立。ブランド開発や組織開発、社会変革を手がけるプロジェクトプロデューサー。アジア最大規模の働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」では3万人の動員に成功。鎌倉のコレクティブオフィス「北条SANCI」や渋谷区発の起業家育成機関「渋谷スタートアップ大学(SSU)」、シェア型書店「渋谷◯◯書店」などをプロデュース。法政大学兼任講師。著書に『これからの僕らの働き方』(早川書房)、『自己紹介2.0』(KADOKAWA)がある。
横石 崇『自己紹介2.0』 KADOKAWA
※Amazonなどで購入はできますが、現状紙の書籍は在庫切れとなっています(購入も可能ですが、値段が上がっています)。Kindle版など電子書籍での購入をお勧めします。
自己紹介は、ただ名刺を渡すことではない
『自己紹介2.0』が導く「肩書」ではなく「未来」を語れる人になる方法
肩書や所属を伝えるだけが、自己紹介ではなく、「未来」を語ることが大切。
横石 崇さんの『自己紹介2.0』は、コロナ直前の2019年に刊行されたものですが、今こそ改めて、ここに書いてある内容が多くの人(働く人にも働いていない人にも!)必要なことなのだと感じご、紹介します。
この本が教えてくれるのは、他者に自分を説明する「新しい自己紹介の技術」ではなく、まず自分自身を知り、自分の言葉で未来を語るための方法です。
人は目の前の人がたとえ今日会ったばかりでも、その人が未来を語っていればその未来に対して期待するものです。
人と、社会と、どうつながるかがコロナ以前以上に問われる今、自己紹介を見直すことは、働き方や生き方を考え直すことにもつながります。
「この人と何かしたい」と思ってもらえるか
ビジネスの場では、名刺交換とともに自己紹介をする機会が少なくありません。
現状そこでは、会社名や役職が先に立ち、その人自身の輪郭まではなかなか見えてこないのでは?
会社という組織の一員としてその場に赴いた場合はそれで十分なのかもしれません。
でも、副業OKの会社が多い今、いえ、たとえ会社の一員としてでも、これからの時代により大切になるのは、一人の「個」として誰かに出会い、
「この人とまた話したい」
「一緒に仕事をしてみたい」
と思ってもらう力ではないでしょうか。
会社員であっても、組織の看板に頼るだけではなく、自分自身の価値観や関心、目指す方向を語れること。それは仕事の可能性を広げるだけでなく、未来につながる新しいつながりを築く土台にもなります。

まず必要なのは、「自分を知る」こと
本書で印象的なのは、他人に自分を紹介する前に、まず自分のことを理解しなければならない、という視点です。
とはいえ、自分のことほどよくわからないもの。
なぜなら毎日のタスクをこなすことに追われ、自分が何を大切にしているのか、自分の苦手なことは何かなどを、ゆっくり考える時間は意外と少ないからです。
それは決してあなたが怠け者だということではなく、そんな機会がなかったから、そんな視点で考えたことがなかったから、にすぎません。
本書がすすめるのは、自分を「わかる」ために、自分を「分ける」作業です。それを本書では「自分の棚卸」と呼びます。
好きなこと、嫌いなこと、得意、苦手を書き分ける、自らのブランドイメージの把握、キャリアのアルゴリズムを作成して、自分の回復力を知る……などなど。
それらを丁寧に埋め、自分を「分け」ていくことで、ぼんやりしていた自分の輪郭が少しずつ見えてきます。
できれば一人ではなく、友人や同僚と一緒に取り組んでみるといいと思います。
なぜなら、一人一人が「自分を分けて理解したこと」を他者に話し、さらに他者の視点が加わることで、自分をより客観的に考え、理解することができるからです。

自己紹介のアップデートができれば、
「越境」も怖くなくなる
自分とはどんな人間なのかが言葉にできるようになると、少しずつ外の世界へ踏み出しやすくなるのではないでしょうか。
本書が後半で扱う「越境」というテーマは、まさにそこにつながっています。
新しい場所へ行くこと。
これまで接点のなかった領域の人たちと出会うこと。違う世代の人と何かをすること。
これらの「越境」は誰にとっても、少し怖いものですし、はじめは居心地が悪い思いをすることにもなるでしょう。
でも、自分が語るべき未来をいつも胸にしまっていれば、そこにある境界線は越えられるものになりそうです。少なくとも本書を読めば、そして実際に自分を分けて自分の自己紹介を練習してみれば、うっすらとでも勇気が湧いてきます。
これはウェルビーイングの視点から見ても、とても大切なことです。
「移動」が人を幸せにするように「越境」も思いがけない充足感を与えてくれる機会となります。
スケールの大小は本当に人さまざまだと思います。でも、「越境」の積み重ねこそが、この時代を健やかに働き、よりよく生きることにつながっていくのだと思います。
「これから」を考えたい人にお薦めします
本書の終盤には、
「人が注目され、『誰とやるか』が問われている今だからこそ、『自己紹介2.0』を活用して『未来を語る』ことが活きてきます。」
という言葉があり、とても強く心に残ります。
自己紹介とは、過去の実績を並べることだけではなく、自分がこれから何をしたいのかを語る状況―その視点に立てば、自己紹介は単なる儀礼ではなく、今会ったその人と関係をひらき、仕事や人生を前へ進めるためのチャンスになることがイメージできるでしょう。
大げさかもしれませんが、読み終えたときには、小説の読後感のような感動さえ残ります。
自分のことを後回しにしがちな働く世代、
定年前後の、”長いこれから”を考える世代、
一仕事終わって燃え尽き感がある人……そんな方々にこそ、手に取ってほしい一冊です。














